住宅購入タイミングをはかるPrice Rent Ratio

こと投資の世界においては専門家と言われる人たちのご高説はあまり役に立ちません。市場は予想できないという大原則とあわせて、専門家の人たちはどこか会社組織に所属して発言していることがほとんどであり、その場合はどうしても発言内容にはバイアスがあるからです。

そんな中で個人としてSNSで積極的に考えを公開してくれている春山昇華さんと竹中正治さんは、とても合理的だしご自身も自分のお金を投資している現役投資家ということでとても参考になります。

 

お二人ともFacebookやブログで情報を発信しているのですが、今日、竹中氏のFacebookでKindle出版の「資産形成のための金融・投資論」を知り早速購入し読んでみました。

内容はDCFやIRRの考え方、為替や金利など、投資をする上で必ず知っておきたい基本知識がご自身の経験談を例にとてもわかりやすく書かれていてこれで500円は破格の値段だと思います。個人的にはここら辺の知識は持っているので、自分のまとめとして役立ったという感じなのですが、不動産投資についての内容はとても参考になりました。

 

著者の内容は、要は資産価値が維持できる立地の良い物件を不況の時に買いましょうという、そりゃそうだという内容なのですが、いつ買ったらいいのかというのがとてもわかりやすかったです。

それがこの記事のタイトルにもなっているPrice Rent Ratioで、簡単にいうと東京の中古マンションの価格を賃料で割って、それが高ければ割高というものです。それによると2012年の底から上がり続けたRatioが2016年くらいから横ばいになり、直近では下がり始めたように見えます。もっとも直近のRatioの下げは、分子である価格が下がってきたのではなく、分母である賃料が増加してきたということで物件価格が割安方向になる下げではないように見えます。

ただ、どっちにしろ今は買い時ではないというのがよくわかります。

 

著者は本の中で投資においてタイミングを計ることは難しく基本的には定額買い付けを進めています。ですが、不動産というものは定額買い付けをすることができない商品であり、たとえ自宅であっても購入タイミングを誤るとその後の資産形成に大きな影響を及ぼすと述べています。

これについては全くその通りだと思っていて、私は自宅マンションを2013年冬に購入したのですが、インターネット上の各種査定では未だに新築購入時の価格を上回る売却価格が出てきます。逆に言うと今が売り時なんですが、残念ながら売却活動ができません。。。

翻って散々検討している札幌の住居を考えてみると、賃貸と購入のコスト差等を比較しなくても現時点においては購入ではなく賃貸として、マーケットを注視し購入タイミングをはかるというのが正しい戦略だと思い直しました。

ちなみに、2020年Q2が更新されていないようなので、計算してみるとPPRは1.02と2020年Q1からまた上昇しています。これは、賃料の方が102.59で前期比0.44とほぼ横ばいなのに対して、価格の方が104.99で前期比1.88と上昇しているためです。公開されている最新の2020年10月も上がっています。価格の方の前年同月比推移をみると、2013年半ばくらいから常に前年同月比はプラスで推移しています。前回の2012年頃を見てみると2010年半ばから前年同月比が下がり始め、2011年末で底を売った感じです。

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これをみると、そもそも2019年始めくらいに底を打ってまた、再度上がり始めているようなグラフに見えます。次の買い時がいつ来るのかわかりませんが、その判断に資するデータだと思います。

このPrice Rent Ratioは竹中氏のHPで定期的に更新されているようです。自分でも計算できそうですが、定期的にチェックしていきたいと思います。