非居住者が退職した際の失業保険、住民税、国民健康保険の計算

繰り返し述べている通りアーリーリタイアを視野に会社を退職することを検討しています。退職して再就職しない場合に気になるのは税金と社会保険についてです。特に失業保険、住民税、国民健康保険、国民年金は金額も大きいことから検討が必要だと思っています。

他の方のブログなどで、退職翌年の住民税は在職最終年の給与から計算されるから高くなるなどの話がありますが、これって当然、居住者の場合になります。私のケースはとてもレアだと思うのですが、非居住者が退職して国内に戻ることになります。

ということで、色々と計算が異なるので整理してみました。

失業保険

まずはそもそもの失業保険の給付条件を見てみましょう。

  1. 雇用保険に加入していること
  2. 雇用保険に加入していた期間が、退職前の2年間で12ヶ月以上あること (1ヶ月とみなされるのは、働いた日数が11日以上ある月となる)
  3. 失業の状態であること (働く意志や能力があるにも関わらず、就職できない状態のこと)

ということで、基本的には日本払い給与があり雇用保険料を源泉徴収されていれば雇用保険に加入はしていることになります。但し、問題は日本払い給与になります。当然、雇用保険のシステムの中では給与額は日本払い給与のみで海外で支払われている給与はその対象になりません。

そして失業保険の給付額の計算は、退職6カ月前の給与総額÷180となるわけです。つまり、ほとんどを海外払い給与でもらい、日本払い給与はごく小額の場合は、もらえる権利があったとしても給付額はとても少なくなってしまうということがあります。

ちなみに、私の日本払い給与の額面は約13万円となります。簡単に計算してみると日額4,333円となり受給期間は150日なので総額65万円程度となります。

決して少ない額ではないですが、海外払いも含めると日額上限7,495円に達しているはずで総額112万円ほどだったので、50万円程少なくなっていることがわかります。

住民税

住民税とはどのような税金かというと、

  1. 住民税とは、地方公共団体の住民であることに対して課税される税金。
  2. 1月1日時点の住所地で、その自治体から課税される。
  3. 住民税は、前の年の1年間の所得に対して課税される。

ということになります。

ですので、失業保険と違い日本払い給与が少ないことがプラスに働きます。

 

まず、1月1日時点の住所地でその自治体から課税されるということなので、帰国の年は住民税の支払いはありません。さらに、前の年の1年間の所得に対して課税ということなので、退職の翌年も日本払い給与のみということでそこまで住民税は高くありません。

例えば、一番損なケースとして12月31日に帰国した場合。翌年1月1日に住んでいる自治体に前年の日本払い給与を基準として住民税を納めることになります。つまりこの場合だと失業保険の計算の13万円を使い、13万円×12か月の156万円が住民税を算定する際の収入総額になります。ただし、ここから社会保険料や基礎控除などがあるので、支払う住民税額はかなり少なくなると思います。

また、一番得なケースとして1月2日に帰国した場合。帰国の年は住民税は払う必要がありません。また、翌年も前年に給与をもらっていないので、その他に収入がない前提ですが、住民税は発生しません。ただ、社会保険料控除や基礎控除を考えると、1月2日が得というわけではありません。

私のケースだと、額面13万円に対して、社会保険料75千円払っています。さらに給与所得控除65万円があります。そのため、社会保険料と給与所得控除を合わせると155万円となり額面の156万円ほとんどが控除され所得としては残りません。

ということで、あくまで私のケースはですが、いつ帰国してもサラリーマン時代の給与に対する住民税は考えなくていいということになります。

国民健康保険

さて、国民健康保険料は、所得割額、均等割額、平等割額の三つに分かれています。このうち、所得割額は前年度の総所得額を基に計算されるのですが、総所得額は給与額面-給与所得控除-33万円となります。その他、均等割額、平等割額は所得額に関係なく計算され、均等割額は23,480円×家族人数+5,330円×40歳以上人数、平等割額は42,350円となります。

その上、以下の減免制度があります。

  • 前年度所得が33万円以下・・・7割
  • 前年度所得が33万円+(28万5千円×加入者数)以下・・・ 5割
  • 前年度所得が33万円+(52万円×加入者数)・・・2割

つまり、先ほどの私ケースで考えてみると、帰国初年度は前年度所得がないので、均等割額と平等割額のみでかつ7割減免となり世帯全体で月3,400円程度となります。

12月31日に帰国したケースを考えても翌年は、5割減免が適用され世帯全体で月9,300円程度となります。

国民年金

国民年金保険料は所得とか関係なく、1カ月16,540円と決まっています。ですので、帰国して住民票をいれたらその月から支払いをする必要があります。ただし、減免制度がありその制度を使う場合は、前年所得が判定基準になるため、すぐに申請して全額免除とすることも可能です。全額免除にした場合は将来に受け取れる保険料も少なくなります。

翌年については、全額免除の基準が(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円なので、これもほぼ受けれるのではないでしょうか。

まとめ

ということで、まとめてみたところ失業保険の減額を十分にカバーできるメリットがあることがわかりました。

私のケースだと、住民税はいつ帰っても払うことはない、国民健康保険は7月末の帰国で所得割額がなしで7割減免となる。国民年金は帰国の年は、全額免除が受けられる。翌年もほぼ、全額免除が受けられるということになります。

そして、さらに都合のいいことに配当控除のメリットも帰国の翌年の確定申告から早速使うことができます。

一応、日本で有休消化をすると最後の有休消化時の給与額が満額になるので、その点は考慮に入れる必要があります。