アーリーリタイアのための国民年金保険、国民健康保険、住民税非課税世帯の計算
アーリーリタイアをするためのCFの計算上欠かせないのが、社会保険料と税金です。特に配当金をベースとしたアーリーリタイアを検討している場合は、上場株式等の譲渡所得等や配当所得等の「住民税の課税方法として申告不要制度」を選択できるので、いろいろと検討要素が多岐にわたります。
今回は、国民年金保険、国民健康保険、住民税について、まとめてみたいと思います。
住民税
住民税の計算
住民税は、総収入に各種経費を引いて、所得金額を計算しさらに所得金額から各種控除を引いて計算します。
税率は、一律10%であり、市町村民税3,500円、道府県民税1,500円の均等割(自治体によって多少異なる)が加算されます。
住民税非課税
前年所得が、35万円×(控除対象配偶者+扶養親族数+1)+21万円以下の場合は、非課税となります。(子供2人の場合、本人は161万円、配偶者は56万円)
均等割りのみ課税
前年所得が、35万円×(控除対象配偶者+扶養親族数+1)+32万円以下の場合は、約5,000円の均等割りのみ課税となります。(子供2人の場合、本人は172万円、配偶者は67万円)
国民年金保険
国民年金保険料
国民年金の保険料は、クレジットカードの2年前納で380,880円(年190,440円)となります。
減免措置について
前年所得に応じて、以下の通り減免措置があります。この場合の前年所得とは、事業所得であれば経費控除後、給与所得であれば給与所得控除後で基礎控除前の金額となります。この場合は、127万円以下であれば、全額免除の対象となります。
・全額免除・・・(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円
(子供2人の場合、本人は127万円、配偶者は57万円)
・4分の3免除・・・78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
・半額免除・・・118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
・4分の1免除・・・158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
※扶養親族等控除額
・一般の控除対象扶養親族(16歳以上)・・・38万円
・特定扶養親族(19歳以上23歳未満)・・・63万円
国民健康保険料
保険料
市町村ごとに違いがありますが、概ね同じです。今回は、居住候補地の一つである逗子市で計算してみます。
この計算の根拠となる所得は、事業所得であれば経費控除後、給与所得であれば給与所得控除後で基礎控除330,000円を引いた額で、世帯全員の合計額となります。
所得割 | 被保険者均等割 | 世帯別平等割額 | 限度額 | |
医療分 | 5.67% | 21,100 | 17,300 | 610,000 |
支援分 | 2.71% | 9,300 | 7,600 | 190,000 |
介護分 | 1.96% | 7,800 | 4,600 | 160,000 |
計算にあたっては、国民年金の全額免除の対象となる本人127万円、配偶者57万円で計算します。
世帯の賦課標準所得=127万円-33万円+57万円-33万円=118万円
医療分=118万円×5.67%+21,100円×4+17,300=168,606円
支援分=118万円×2.71%+9,300円×4+7,600=76,778円
介護分=118万円×1.96%+7,800円×4+4,600=58,928円
合計=122,012円+152,800円+29,500円=304,312円
減免措置について
世帯全員の所得(経費控除後、基礎控除前)の合計で計算し、均等割と世帯割が減額となります。
・33万円以下・・・7割減
・33万円+28万円×被保険者(世帯4人145万円)・・・5割減
・33万円+51万円×被保険者(世帯4人237万円)・・・2割減
国民年金の全額免除の対象となる本人127万円、配偶者57万円で計算した場合は、2割減、配偶者を0円とすれば、5割減が適用されます。
5割減の場合は、上記の均等割りが152,800円から76,400円に、世帯割が29,500円が14,750円となります。
全ての恩恵が受けられる水準
それぞれで基準となる所得が異なったり、そもそも基準額が違うためわかりずらいのですが、子供二人の家族4人の家庭が減免措置が受けられる水準をまとめると以下の通りとなります。
・住民税非課税・・・本人は161万円、配偶者は56万円
・住民税均等割のみ・・・本人は172万円、配偶者は67万円
・国民年金保険免除・・・本人は127万円、配偶者は57万円
ということは、一番低い国民年金免除に合わせることで、住民税は非課税世帯になり、国民健康保険は2割減となり、年間で36,460円の軽減となります。さらに世帯全体で39万円分の所得を削り、合計145万円以下とすることで、国民健康保険は5割減となり、年間で91,150円の軽減となります。
まとめ
アーリーリタイア後に、配当収入をメインとするのであれば、「住民税の課税方法として申告不要制度」を選択の上で、夫の所得を127万円以下、妻の所得を18万円以下とすることで、住民税非課税、国民年金保険は全額免除となり、社会保障費として必要なコストは、国民健康保険は188,346円/年のみとなります。