投資雑記

最近、プロのファンドマネージャーの方にお話を聞く機会があったので、その備忘録です。

 

・日米の株式

日米のマーケットを比べると圧倒的に米国市場が魅力的。投資家は、PERの逆数である株式益回りと長期金利の差であるイールドスプレッドを見ていることを考えると、米国は景気刺激策として長期金利を0%まで落とした。長期金利が下がるということは、イールドスプレッドは変わらなければ、より低い益回り=高いPERが許容されるはずである。

つまり、米国の長期金利水準の変化は、PERの上昇という効果をもたらしてもいいが予想EPSの低下によりPERが上昇していない。つまり、現在のPER水準が変わっていないのは、マーケットが予想EPSの低下を織り込んでいないのではなく、長期金利の低下と予想EPSの低下の両極面から考えてイーブンになっている。

つまる、今後長期金利が今の水準を維持し、予想EPSの回復が明らかになるとPER水準から見ても現在より高い水準は理にかなう。

一方で日本については、すでに長期金利は0%であり長期金利水準の変化は生じていないが、予想EPSの低下が生じている。その結果としてPERが上昇しているが、現時点でこの予想EPSはあてにならないと感じている。

日経平均のPBRを見てみると1倍付近であり、BPSはセンチメントや曖昧な予想で変化しないことを考えると、こちらを参考にしたほうがいいと感じている。1倍のPBRをみると、ここからさらなる大幅な下落というものは想定していない。

 

なお、ここら辺の情報は、このサイトで見ることができる。現在の数字を見てみると、益回り3.64、国債利回り-0.005、イールドスプレッド3.64、PBR0.96、BPS20,872.36。2019年末の益回りが8.49%で国債利回りは変わらないだろうから、イールドスプレッドは8.49だったのでだいぶ低下した。

だが、BPSの推移を見てみると、安定した数値を保っており、2009年8月からのPBRの推移を見ても底だと考えられる。リーマン時は株価の底であった2009年3月はPBR0.9まで下がっている。その後、BPSの上昇より株価の上昇が大きかったため、一時的にPBRは1.4位に上がっている。その後、2013年にアベノミクスが始まるまでは株価は横ばいを続ける。その間も、企業のBSは回復しているのでPBRは下がり、アベノミクス前でPBRは、また0.9まで下がっている。

その後は、株価の上昇もあってPBRは2015年に1.5をつける。2016年の株価の下落により1.1まで下がるが、再度の株価の上昇で2018年1月に1.4となる。その後は、株価は横ばいだが、企業業績は順調に積み上がりBSが改善されたことでPBRは低下して2019年8月でも1.02、直近では0.96になっていると。

 

このPBRの動きを見ると、BPSが急激に低下しない限り日経平均がさらに下げるということは確かに考えなくてもよさそうである。今回は金融危機と違って、金融業のバランスシートが急激に痛むことも考えにくい。企業業績が赤字にならない限りはBPSが減ることはない。BPSは一株あたり純資産なので、黒字をキープする限りは純資産は増えていく。

さらに、商社や金融の決算を見ても、2020年3月期でまとめて減損してしまおうという感じであり、コロナに関係ないものも減損している。これは短期的にはマイナスだが、将来的にはこれ以上のBPSの悪化を考えなくていいということでプラスである。

これらのことから、極端な第二波等で企業業績が壊滅的な打撃を受けない限りは、日経平均は下げても19,000円くらいの水準で壊滅的に下がるということはないように思う。

 

ただ、短期的に株価がさらに上昇し、PBRが1.4とかに上がったら、その後は短期的な調整ははいるだろう。

 

・日銀のETFの直接買い入れ

日銀のETFの直接買い入れは、短期ショートを牽制する役割が大きい。例えば、前場で大量のショートを行い、後場にさらに安くなったところで買い直すという戦略があるが、日銀のETF買いの可能性があるだけで、後場が安くならない可能性があるので実行するのをためらうようになる。そのため、相場の安定に役立っている。日銀のETF買いが続く限り、投機的で短期的なボラティリティは縮小すると考えている。

出口戦略については、日銀が買い入れたETFを売却することは考えにくい。将来的には別の機構みたいなところを財務省が作ってそこに移管するのではないか。十分に相場が上がったら徐々に売却は考えられるが、当面は考慮する必要はない。

 

・クレジットカード会社の損失引当計上について

今後、景気の悪化に伴い個人のファイナンスが厳しくなることでカードローン等の返済比率の悪化が考えられる。その際にクレジットカード会社は追加の損失引当が必要になるかという問いだったのだが、日本についてはあまり心配していないらしい。というのも、日本の個人がそこまで急激に返済不能となることがないからだそう。ここはもう少し突っ込んでもよかったかもしれない。一方で米国のVISAとか MASTERについては、その懸念は十分にあるということだった。

バフェットが最近金融株を手放しているのが、今後不良債権がどれくらい増えるか見通しが立たないからなのかもしれない。

 

・米国大統領選のマーケットに与える影響について

民主党の候補がバイデンになったため政策的にそこまで劇的に変わらない見込みになった。そのため、トランプが負けたとしてもマーケットの波乱要因にならないと考えている。

 

・米国株に役立つ情報源

MarketWatchがおすすめとのこと。ここで出た小さい記事が後々Wall Street Journal等の記事になることもあるそうで、銘柄選択等の参考にもなるみたい。早速、チェックしていこう。