海外赴任者とふるさと納税

日本にいたころは、気になっていたけどなかなか実行に移せなかったふるさと納税。ふと、海外でも使えるのか気になって調べてみました。ちなみに、前提として自宅を賃貸に出しており確定申告をしているという前提です。給与収入だけの場合は、そもそも日本へ税金を納めていないので、ふるさと納税は使えません。

で、結論から言うと、いくら不動産賃貸で確定申告をしていても、海外居住者が納める税金は所得税のみです。住民税は収める必要はありません。そして、ふるさと納税の仕組み上、住民税だけでは還付が十分ではなく、使えるけど意味がないという結論に達しました。

ふるさと納税の控除の仕組み

これについていろいろ書こうと思ったのですが、調べきれず諦めました。いろいろなサイトでシュミレーターがあるのでそれを使うのがいいと思います。ただ、以外にないのが給与収入以外の収入がある場合のシュミレーター。どこのサイトもサラリーマンのみを対象にしているのですね。

ということで見つけました。税理士試験と税務のメモというサイトの、所得税,住民税,社会保険料,手取りの簡易計算&ふるさと納税(限度額,自己負担額),住宅ローン控除(実質控除限度額),医療費控除等の減税効果確認ツールというページにWebツールがあります。入力画面が、現前徴収票や確定申告書の体裁になっておりとても入力しやすいです。

諦めたとはいえ、簡単にふるさと納税の控除の仕組みを説明します。

ふるさと納税の控除額は以下の3つに分解することができます。

①  所得税分 (寄附金-2,000円)×5.105%※1
※1(所得税率)5%+(復興特別所得税(所得税率×2.1%))5%×2.1%=5.105%

②  住民税分 (寄附金-2,000円)×10%※2
※2 標準税率の市町村民税6%、都道府県民税4%

③  住民税の特例分 (寄附金-2,000円)×84.895%※3
※3 100%―※1―※2=84.895%

④  ①+②+③=(寄附金-2,000円)×100%

但し、もう一つ重大なルールがあり、③は住民税額の20%が限度ということです。つまり、上記の所得税率が5%の場合は、

(寄附金ー2,000円)× 84.895% ≦ 住民税額 × 20%
∴ 寄附金 ≦ 住民税額 × 23.55851…%+2,000円

という計算式が成り立ちます。この23.55851%は、所得税率により異なり、所得税率10%の場合は25.07%になり、最高税率の45%の場合は45.45%となります。

つまり、自分の所得税率によって住民税額に掛ける係数を変えると、寄付金額が出てくるということです。

じゃあ海外赴任者は?

さて、ふるさと納税の控除の仕組みが分かったところで、海外赴任者の場合はどうなるのか考えてみると、当たり前ですが上記の①所得税分しか控除が受けられません。しかも自宅賃貸の場合は、最低所得税率の5%がほとんどでしょうから、得られる控除は、所得税分(寄附金-2,000円)×5.105%のみ。

払った寄付金から2,000円引かれたうちの5%しか戻ってきません。これでは、まったく意味がありませんね。
なお、ふるさと納税の仕組みについては、こちらのページにとてもお世話になりました。一番わかりやすかったです。

 

その他の気になったこと

今は海外にいるので無理ですが、いつか日本に帰った時、サラリーマンとして所得税と住民税を源泉徴収されている一方で、確定申告もして確定申告分の住民税は普通徴収で別に支払う場合は、どちらの住民税から控除されるのでしょうか?日本に戻った時に調べてみたいと思います。