アーリーリタイア後の配当と債券ETF(BND)以外の分散方法

過去に何度も書いているように、遅くとも12年後のアーリーリタイアを目指しています。リタイア後のメインの収入は株式からの配当金を考えていますが、配当一辺倒だと結構な元本が必要となります。ということで、株以外に配当収入のような定期的な収入が得られる金融商品を比較してみたいと思います。

配当金のメリットデメリット

その理由は、配当をメインにするといっても高配当株への投資をする気がないからです。高配当株がなぜ高配当なのかの理由は、成長性がない企業が株主へのアピールとして株主還元を選んでいるからです。高成長の企業は、そもそも業績の成長とともに株価が伸びるため高い株主還元の必要がありません。

ということは、高配当株というのは業績の成長はあまり期待できず、さらにいつか増配等の株主還元策が止まったら投資家から見放される可能性があるということです。そうなった株については、当然株価の下落が始まります。そもそも、業績の伸びが期待できない以上、株価の伸びも期待できず得られるリターンは配当金のみということになります。

 

ということで、無配の株は選ばないのですが、会社業績の成長性の有無は必ずチェックしています。そして、そういう会社は4%とか5%の配当利回りは期待できません。ということで、2%を目安にしています。正直これでも高く、本当は1%程度の会社も選び、その代わり3%くらいの会社を選んで全体で2%を目標にしています。

J REITのメリットデメリット

もう一つの高配当な金融商品としてREITがあります。最近は、インフラ投資ファンドと太陽光等に投資をするREITも出てきました。個人的にはこのREITにも懐疑的です。このREITは特性上、内部留保がありません。そのため、業績を成長させたかったら増資が必要となります。増資といってもタイミング等次第で一株当たりの利益が増える増資もあるのですが、当然投資家は選ぶことはできずREITの決定に従うしかありません。なので、リーマンショック後の10%を超える利回りの時は別ですが、現在の3~5%の水準では投資する気に慣れません。また、リーマンショック後のような10%を超える利回りになるようなことになった時は、株式の方もバーゲン中です。株価の回復のキャピタルゲインも考えると同じお金を株の方に投資した方が、効率的な気がします。

債券ETF(BND)

最近知ったBNDは、検討に値する商品かなと思っています。ただ、用途は安全資産をキャッシュではなく金融商品で持ちたいときの避難先としてです。BNDは、長短期米国債をミックスしたETFでありボラティリティが低いわりに、利回りがいいことが特徴です。2007年以降、大体75ドルから85ドルの間での値動きであり、リーマンショック時も一時的に70ドルに下がっただけですぐに値を戻しています。利回りは、3年前くらいの利下げ局面では2%弱、今は利上げ局面ということもあり2.5%程度の水準です。

大体80ドルを下回ったところで買っておけば、安全資産代わりになるのではないかと思っています。

外貨FX

外貨FXのスワップ金利も、定期的な金利収入ということで人気です。私も、これにハマっていた時がありました。ただ、外貨FXのスワップ収入は、低金利通貨を売って高金利通貨を買い、その利回りの差がスワップ金利となる仕組みです。そして、通貨の特性上、高金利通貨は低金利通貨に対して安くなっていきます。ということで、株の高配当株と同じ理屈で元本の価値が下がることが見えている投資には、やはり抵抗感があります。

ただし、トラリピとスワップ鞘取りは使えるのではないかと思っています。トラリピは有名ですが、値動きの回帰性を利用したトレードとなります。基軸通貨通しはその特性上、どちらかに一方的に動き続けるということはありません。この特性を生かして、高い通貨が安くなる時に連続して買っていき、高くなる時に売る。これを繰り返す戦略は合理的な気がします。また、スワップ鞘取りは完全にアービトラージでリスクが低い中でそれなりのリターンが見込めます。さらに、これらの戦略を有効にしている理由が、FXは簡単にレバレッジがかけれるということです。レバレッジは実物不動産でも掛けられますが、流動性が低い上に市場が非合理なため投資で勝つには勉強が必要となります。その点、FXは合理的な市場で流動性が高く、簡単にレバレッジを使うことができます。資金の効率性からいって、とても検討に値する投資方法だと考えています。

株価CFD

もう一つ流動性が高くレバレッジが使える金融商品として株価CFDがあります。この株価CFDは、各市場の全株式を保有することになるので保有しているとその市場の配当利回り相当をもらうことができます。ただし、海外市場のCFDであれば、円を売ってその国の通貨を購入していることになるため、円とその国の通貨の金利差分の金利を支払う必要があります。現在、ダウのCFDはドルと円の金利差の関係から、もらえる配当相当額より支払う金利の方が多く逆ザヤになってしまいます。イギリスであれば、ポンドも円と同じく史上空前の低金利ですので、金利差がほとんどなくもらえる配当相当額の方が多い現象が続いています。

なので、デメリットとしては将来的に、円とその国の通貨の金利差が開いた場合は、逆ザヤになる可能性があります。ただ、一般的には金利が上昇している間は、景気が上昇局面にあるということであり、株価は上がることが期待できます。つまり、金利が低いとき=景気が悪い=株価も低いであり、その間は配当金相当額受取り、景気が良くなり金利が上がり逆ザヤになってきたら、株価も上がっているはずなのでキャピタルゲインを得るために売るということが、理論上は可能なはずです。

この構造は、持っているだけで価値が下がっていく高金利通貨のスワップ狙いや、成長が見込めない高配当株とは異なり、元本の成長が期待できます。

そのため、レバレッジがかけれて、元本の成長も期待できるこの方法も選択肢の一つとなります。

オプション

最後に、ずっと興味のあった金融商品としてオプションのカバードコールがあります。長期保有する現物株をただ持っておくのではなく、コールを売ることによってレンジ相場や下落時にも利益が得られるようにするこの戦略は、配当株の長期保有と相性がいいのではないかと思っています。ただし、個別株でこれをするには米国証券会社を使って米国株を対象にする必要があります。税率の問題で、アーリーリタイア後に実践できるかはわかりませんが、検討はしてみたい方法です。

まとめ

さて、これまで以下の6つを見てきました。

  • 成長株の配当金
  • REIT
  • 債券ETF(BND)
  • 外貨FX
  • 株価CFD
  • オプション

私にとって、候補となりそうなのは元本の価値の成長が見込める、①成長株の配当金、②株価CFD、③平均回帰の特性を生かしたトレードである外貨FXのトラリピ、④アービトラージの外貨FXの鞘取り、⑤①成長株の配当金投資の補助としてのカバードコールとなります。債券ETFであるBNDは、安全資産の待機場所という観点から少し違う用途となりなります。

さらに、ポートフォリオを考えると次のようになります。

①成長株の配当金・・・期待利回り2%、ポートフォリオ70%

②株価CFD・・・期待利回り8%、ポートフォリオ4.5%

③平均回帰の特性を生かしたトレードである外貨FXのトラリピ・・・期待利回り8%、ポートフォリオ4.5%

④アービトラージの外貨FXの鞘取り・・・期待利回り9%、ポートフォリオ4.5%

⑤米国高配当株+オプション(Covered CallとCash Secured Put)・・・期待利回り3+10%、ポートフォリオ18%

仮に元本を1億円だとすると、合計で①140万円、②36万円、③36万円、④41万円、⑤234万円=487万円で税引後389万円となり、税引後合成利回りは3.9%となります。オプションを除いても、307万円の税引後245万円、税引後合成利回り2.5%となかなかの水準ではないでしょうか?特にレバレッジをかけれる②③④がポートフォリオの13.5%を占めるだけなのに、利益では約35%といい働きをしてくれています。

もちろん①の株式の比率を下げることで、合成利回りを向上させることができます。成長が期待できない高配当株一辺倒になるよりも、このように様々なタイプの金融商品を組み合わせて利回りの向上をはかる方がいいと思っています。

今は、日本にいないためオプション以外は試してみることは難しいのですが、日本に帰国したらアーリーリタイアの準備として小額から②③④の実効性を確かめていきたいと思っています。