持たざる経営(日経ビジネス2019年7月8日号)

今週の日経ビジネスは持たざる経営でした。ただ、あんまり好きな特集ではなかったです。資産を持つビジネスをする会社と持たないビジネスをする会社の具体例を挙げるだけという感じでした。メリットだけにフォーカスをするのではなく、失敗事例などもあるとよかったと思います。

結論としては、持つ経営はアセットの有効活用、持たざる経営は外部サービスをどのように自社に最適化して使うかという点が問題になるという至極当たり前の話だったと思います。じゃあ、どうやったらいいのかという点にはあまり触れられていなかった点が残念でした。

その他に面白かった記事をいくつか。

都心部オフィスの空きスペースの有効活用

Mellowという会社が手掛ける移動販売車と都心部オフィスの空きスペースのマッチングサービス。やっぱり不動産というのはまだまだ、活用できていない場所や時間がたくさんありそうですね。不動産会社も作って貸すだけではなく、こういうサービスを提供することで利益率の高い管理収益を手に入れることができるのではないでしょうか?所有者側もワンストップで同じ会社にすべてを任せることができたら、楽でしょうし。

観光公害

主に京都の祇園で問題になっている観光客の増加に伴う地域住民との軋轢の話でした。これは、もう観光化を推し進めるうえで避けては通れない問題のような気がします。地元の人はある程度は割り切って、いかに観光客から金をとるかということに注力した方がいい気がします。それか、記事内にもありましたが私有地が多いのであれば、お断りにしてしまうか。どちらもというのは無理でしょう。

一方で、1年で観光客を2.5倍の事例にした佐賀県の事例がありました。アメリカにいると感じるのですが、日本は本当に各地方で食、文化、気候と特色がそれぞれです。そのポテンシャルをどうやって発揮するかというのは、面白いビジネスチャンスなのではと思います。

ベイクルーズグループ

狙ってなのかわかりませんが、この会社の特集内容はまさに持つ経営のお手本パターンでしょう。素人からするとなぜ、店舗ごとに物流倉庫を分けなければいけないのかメリットが全く分かりません。記事の中にあった、実店舗とECでは倉庫内での作業が微妙に違うという点も、簡単に解決できる問題のような気がします。ECを全く活用できていないセブンイレブンは見習ったらいいのではないでしょうか。

AI、センサーで肌解析

これも面白いサービス。この分析をベースに根拠のあるデータでもって、化粧品や美容品を勧められたら、そりゃ買うでしょうね。化粧品会社にとっては可能性がとてもあるツールだと思います。化粧品のパーソナライズ化とデータに基づいた選択。

米国の理想のテキサフォルニア

カリフォルニアとテキサスを合わせると米国の5分の1の人口に相当するそうです。だけど、二つの州は両極端。大きい政府のカリフォルニアと小さい政府のテキサス。だけど、昔のカリフォルニアも小さい政府だったそうです。拡大志向で規制が少なく税金が安かった。だけど、拡大しきってこれ以上の拡大はいらないとなると、既存住民の要求にこたえるために教育制度の拡充など福祉にお金を使うようになる。その結果として税金は増えていく。結局ステージの違いということが言えそうです。

だけど、記事の最後には、こんな文章があります。2つの巨大な州が持つ長所を併せ持つ州を考えてみよう。自由を愛し、個人の生活に政府が介入せず、企業にやさしく、人々に雇用の機会を提供し、環境を守り、教育にお金をかける。そんな理想的な州ができないだろうか。

これ、一応、The Economistからの記事なのですが、筆者は本気で言っているのでしょうか。これって、税金は払いたくないけど行政サービスはちゃんとして欲しいと我儘を言っているだけのように聞こえます。むしろ、同じ国の中に全く異なる行政サービスが両立しているアメリカに凄さを覚えますし、人々が自由に移動できる以上、今の状態がベストだと思います。カリフォルニアはテキサスにはなれないし、テキサスもカリフォルニアを目指す必要はない。ただ、どっちかに住みたい人が移動をしてくればいいだけの話です。

ちなみに、私は駐在員としてカリフォルニアに住んでいるため、一番ネックな税金と住居が全額会社負担です。これこそ、まさに良いとこどりと言えるかもしれません。